子供の難聴に関するQ&A

Q、手話と補聴器どちらが有効でしょうか?
A、手話は言語のひとつです。手話か補聴器かと二者択一するものではありませんし、生活を実り多いものにするためにはどちらも有効です。ただし、それぞれの聞こえの状況や将来の希望、生活する環境によって何が最適な方法となるかは個人によって異なります。実際には、多くの方が補聴器と手話の両方を、場面にあわせて使い分け、生活されています。

本当の生活でどんな風に「有効に」使っておられるのでしょうか?フォナック・アンバサダーとして活躍しておられる方の様子をみると参考になるかもしれません。
【フォナック グローバルメディア Hearing Like Me】(英語)www.hearinglikeme.com

Q、補聴器をつければ健聴者と同じように聞こえるようになりますか?
A、
他の医療技術がそうであるのと同じように、補聴器にも多くの技術的限界があります。難聴が軽度で元々言葉の聞き分けが良い場合、補聴器を装用すれば聞こえる子供たちとほぼ同じ様なレベルの聞こえが期待できますが、重度難聴の場合、補聴器である程度の聞こえを補うことは可能でも、しばしば聞こえないことによる「困ること」が残ってしまうことがあります。
重度難聴者が補聴器を使う上で大切なのは、こうした限界を理解した上で、他のいろいろな補助手段を併用したり、環境調整を行いながら、少しでも「困ること」を減らしていくことです。そのためにもどんな状況で、何に困るかを具体的に考えて環境調整や補助手段を選んでいきましょう。代表的な補助手段がロジャーなどの無線通信システムを併用することです。


Q、補聴器を装用するとスポーツなど行動が制限されませんか? できないことはありますか?

A、補聴器は精密な電子機器なので、水分や衝撃でうまく働かなくなることがあります。したがってバスケットボールやサッカーといったコンタクトスポーツ(身体が接触する競技)ではプレー中に補聴器を外すよう指導されるかもしれません。テニスや卓球など、補聴器を装用したままプレー可能なスポーツもありますが、その場合には、汗対策や防水加工が必要になります。水泳の場合、防水加工は水圧には弱いので、潜水すると故障しやすくなりますからご注意ください。水に濡れた後は水分を拭き取り、乾燥ケースに入れて補聴器をしっかり乾燥させると、故障しにくくなります。
実際にはそして、多くの方が補聴器をつけてスポーツを楽しんでおられます。プロ選手としてもプロ野球日本ハムファイターズの石田裕也選手や日本フットボールリーグ(JFL)のヴェルスパ大分のFW西大輔さんがいます。

Q、こどもに必要な補聴器の機能はありますか? 何を基準に選べばいいでしょうか?
A、年齢や状況によって必要な機能が変わります。
機能は必要に応じて調整の際に選択できますから、状況や生活上の必要性から適切に選択する必要があります。補聴器の機能調整には多くの項目がありますが、例えばマイクの特性だけでも年齢によって次の様に変わります。

  • 就学前 → 「聞く」の基盤をつくる時期です。どんな音もすべて聞くことが大切になります。広い範囲の音を拾うために、無指向性マイクロフォンを使うことが多いです(フォナック スカイB 推奨の設定)。
  • 就学後 → 聞き取った言葉で学習を広げることが重要になります。話をしている人に集中するために、周囲の雑音をできるだけ小さくすることが必要になります。騒音下での聞こえを助けてくれる補聴援助システム(ロジャー等)の併用をお勧めすることもあります。

以上は一般論ですが、お子さんの状況や周囲の環境に応じて最適な補聴器の機能はそれぞれに異なり、単に年齢や学年だけの問題ではありません。日ごろの状態をよく知っている担当の言語聴覚士や学校の先生と相談しながら、適切な機能を考えていきましょう。

Q、2歳で補聴器の装用を始めましたがこどもが補聴器を嫌がります。どうすれば装用してもらえますか?
A、
お子さんが補聴器を嫌がる理由の多くは「わずらわしい」こと。
それを乗り越えるためには「補聴器をつけると楽しいことがある」という体験を増やすことが大切です。

  • 補聴器の装用には、保護者の笑顔が効果的です。装用できたらほめてあげましょう。周りの人たちから「できたね!」「かっこいい!」「上手!」とほめられ、誇らしい気持ちになることが次に補聴器をつけるきっかけになります。
  • 大好きな遊びをするときにはいつも補聴器をつける、というのもいいかもしれません。音が出るおもちゃで遊んだり、好きなアニメのテーマ曲を一緒に聞くのも楽しい経験になります。
  • 好きな色のカバーや、お気に入りのキャラクターのシールをつけることも役に立つでしょう。朝、起きてから着ける補聴器が楽しい時間になりそうです。フォナックのインスタグラムでは、お子さんが補聴器を装用している写真が世界中から集まっています。何かのヒントになると思いますのでぜひご訪問ください。
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Q、補聴器が小さくてこどもがなくしそうです。何かいい方法はありますか?
A、落下紛失防止用のクリップがありますので、一緒にお使いいただくことで紛失の可能性を少なくできます。
自作方法はこちら(参考)ブログ:3人目の3本目☆彡 「補聴器落下防止紐の作り方をアップします」http://ameblo.jp/kiyo1122h/entry-12206200918.html

また、補聴器の保管場所を決めておき、同じところにしまう習慣をつけましょう。成長にあわせて、寝る前に補聴器を布でふく、乾燥機にしまうというお手入れを教えてあげてください。本人が補聴器を大事に扱う習慣が身について、故障を減らし長く使用することにつながります。

Q、補聴器を装用しているといじめが心配です。周りの理解を得るために親がすべきことはありますか?
A、
第一に、補聴器をつけなければ、友達とのトラブルは避けられるのでしょうか?聞き間違いや、コミュニケーション上での失敗が頻発すると、学校生活でのトラブルの原因となり、根が深いいじめを引き起こしてしまうことも考えられます。補聴器を活用して周囲とのコミュニケーションを良好に維持し、いじめを予防する人間関係を作っていきましょう。
第二に、それでも補聴器を元にいじめられることがあれば、先生に相談しましょう。本人に責任のない、外見的なことで責められるようなことは、本来あってはならないことです。こうした原則は、これから大人になっていく全ての子供たちに毅然として示されるべきです。

その上で、お子さんが自分に自信を持ち、周囲と助け合う力を身につけるためには、まずは保護者の方が補聴器の装用を前向きにとらえていただくことが大切だと考えます。自分は何が得意なのか、どんなことに配慮してもらえると生活しやすいのか、ということを周囲に上手に伝えることのできる力=セルフアドボカシーの能力は、ずっと先までの人生を支えてくれる力になります。
保護者の方がコミュニティ活動などに積極的に参加されることもお勧めです。その中で、どのように接してもらうと助かるのか、ということを周囲に上手に伝えることができると、理解も深まっていくと考えられます。

Q、本人だけでなく、兄弟や友だちも補聴器を好きになってほしいと思います。何か工夫できることはありますか?

A、補聴器に人気のキャラクターがついていたり、キラキラと光るデコレーションが施されていたり。お子さんが自慢できるような補聴器に装飾してあげてはいかがでしょう。お友達やご兄弟が「○○ちゃんの補聴器いいな」とうらやましく思ってもらえたら毎日が楽しくなりますね。
聴児の場合、早期に補聴器を装用してよりクリアな音を聞き、また自分のしゃべる音と聞き比べて修正することが適切な発音(構音)の発達につながります。したがって補聴器のより良い聞こえを確保することはまず大切ですが、それでも難しい構音が残る場合には、正しい構音の作り方を学ぶことで改善することもできます。構音のための専門的な指導は言語聴覚士から受けることができます。地域によっては通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校、病院、通園施設などで指導を受けることができます。構音には「慣れ」が必要で、練習には時間がかかるかもしれません。周囲が褒めて励まし、温かい目で応援することが大切です。フォナックのインスタグラムにも、アクセサリー感覚で補聴器を楽しむお子さんの写真がたくさん掲載されています。
聞こえに問題を抱えるのは難しいこともあり、迷いが生じることもあるでしょう。一方で、何とかなると楽観することも大切です。保護者の方がおおらかに構えていらっしゃれば、お子さんはご自分の可能性を自分らしく伸ばしていきます。フォナックのインスタグラムには、そんな人生を謳歌する世界中の難聴者の姿もたくさん紹介しています。
また、フォナックのこども専用補聴器「スカイB」は、補聴器本体の多彩なカラーバリエーションに加え、耳に掛けるイヤーフックのカラーも7色からお選びいただけます。その組み合わせは最大35通り。きっとお子さんのお気に入りの組み合わせが見つかると思います。


監修:医療法人さくら会 早島クリニック 耳鼻咽喉科皮膚科 理事長 院長 福島 邦博 先生

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